TOP > MENU > ボンネットバスの系譜 > ボディメーカー別分類

ボディメーカー別分類

北  村

 ボンネットバスのボディでは最も多く残っている北村ボディです。なぜ多いのかというと、四輪駆動のTSD系のボンネットはそのほとんどがこちらの会社で架装されたからなのです。
 最近は復活するボンネットバスが増えたため、その比率が下がっていますが、その姿は全国各地で見ることができます。
 
 北村の特徴はなんといっても天地の高い正面窓です。視界が広そうで私は好きですが、なかには大きすぎるという人もいます。
 車体後部の美しさは秀逸です。サイドまで回り込んだ大型の窓に真ん中の非常口はボンネットバスの基本ですね。
 じつはこれ、手で叩いてつくられており、『日本のロールスロイス』ともいえる超高級車なのです。
 以前、北村製作所の工場見学をさせていただいた際ににうかがったところ、『今は人件費が高いので、これを作ろうとすると、コンコンコンというコンのひとたたきで1万円かかる。』とおっしゃっておられました。
 それくらいの芸術品なのです。
 岩手県交通の北村はなぜかトラック用のテールランプを利用していました。そのため丸いレンズが2個並ぶという独特な格好になっています。
 その後の北村は後部にプレス型を使用するようになりました。この形はあまり人気がありませんが、細部には違いが見られます。
 初期のものはテールランプが内側寄りで、台座がありません。これは推測ですが、台座なしで取り付けるにはなるべく内側に寄せたほうが、後方からの視認性が良くなるからではないかと考えます。
 その後、テールランプはサイドから30cm以内に取り付けるよう保安基準が変わったそうで、北村も台座付きのものに変りました。車端は丸いので、角度を考慮する必要があり、台座が付けられているんですね。
 北村が多く現存する理由のひとつがこの種のTSD系の存在にあります。自衛隊に限らず、鉱山などで使用されるものはプレス型になったあとも非常口が後部に設けられました。珍しいタイプですね。

富 士 重

 富士重工の正面窓は形が独特で四角形とも平行四辺形ともいえない形をしています。三角窓が大きいのも特徴ひとつで、さらにサイドは窓下に2本のコルゲートが存在します。
 ボンネットバスにはありがちですが、上のように寒冷地仕様では正面窓がハメ殺しになっていますが、暖地向けは開けられるようになっています。
 富士重工の前期型は後部窓が小さく、古くさいイメージがあります。
 でも、このアングルから見ると、ボンネットバスの後輪は車体中央部にあるように見えますね。
 その後、窓が大型化されましたが、なぜかセンターピラーが入っており、厳密に言うと5枚窓になります。

川   崎

 川崎航空機の前期型の特徴は、おとなしい長方形の正面窓と、カーブした三角窓にあります。
 後部は上部の傾斜がきつく、斜めになっていることが特徴です。
 最終型はこのスタイル。窓は小さめですが、伊豆の踊り子や元備北バスの車に見られます。

帝   国

 帝国の現存車は独特なパノラミックウィンドウの車ばかりです。正面窓は開閉不能となり、三角窓もないため正面方向幕下に風取り用の通風口が設けられているものが多くあります。バカボンのおまわりさんにも似ていますね。
 帝国の後部も北村同様秀逸です。

金沢産業

 金産コーチとも呼ばれる会社で、帝国と合併後日野車体となりましたが、現在はさらに合併して日野自動車となっています。
 残存する前期型のものは2枚の正面窓に連続性があるようなデザインとなっています。
 後部はこのように美しいスタイルです。
 後期型になると、正面窓は独立型となり、他社と同じような構成となりました。
 ただ、三角窓の形は独特で、斜辺の上部が少し曲がっています。つまり、厳密に言うと『三角形っぽい四角形』になります。
 後部は前期型も後期型も一緒です。帝国との見分けも難しいですね。

西日本車体

 西日本の特徴はなんといってもバス窓のR(カーブ)です。他社の窓は全て角が直角になっていますが、西工だけは丸です。 
 しかし、これだけ丸いと窓開け用のつまみが取り付けられないのでは・・・?という疑問も生じますが、金具自体を少し上に取り付けることでその問題を解消しています。
 後部窓は大きく、美しいスタイルです。

呉   羽

 呉羽ボディは残存数が少なく、珍しい存在です。特徴は三角窓の形にあります。
 三角窓の正面窓よりの角は直角になっており、正面窓と一体化をアピールするかようなデザインとなっているのです。
 後部窓は天地が少し狭くなっているため、横長の印象があります。

安全車体

 安全車体のバスなどは極めて特殊だと思っていたのですが、昔よく読んだ日本バス研究会の会報『バスファン』のなかでFさんが詳しく書かれていたのを拝読したことがあります。昔は結構存在していたんですね。
 ボンネットバスの中では少数派で、珍しい存在です。
 後部窓は天地が小さく、呉羽同様に横長の窓にみえますね。

新日国

 新日国(しんにっこく)はボンネットバスの時代にはメジャーだったのかもしれませんが、箱型のバスは見たことがありません。
 こちらは『日国』時代のものですが、資料が少なく『日国』から『新日国』になった理由もわかりません。
 どなたかご存知の方、お知らせいただければ幸いです。
 新日国の後部は傾斜のついた大きな窓が特徴です。
 徳島バスの廃車体ですが、これも10年以上前になくなってしまいました。
 上のものに比べると、後部の傾斜が緩くなっています。

東浦自工

 東浦自工。珍しいメーカーで、このバスのほかには元電電公社の発電用自動車を改造した四国交通の1台しか見たことがありません。大阪の会社のようです。
 後部の窓も独特な形状をしています。


その他のメーカー

 尾張ボディ。これは元電電公社の発電用自動車だったもので、この種の車は他にも『京成ボディ』など、何社かのメーカーで架装されていたようです。
 京成ボディは普通のバスも作っていたようですが、尾張ボディのバスは特装車以外見たことがありませんので、ここではメーカー名の紹介だけにとどめます。
 写真のものは尾張ボディの中でもかなり後期のタイプで、正面窓が1枚窓(センターピラー入り)になっています。

TOP > MENU > ボンネットバスの系譜 > ボディメーカー別分類

inserted by FC2 system