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黄荊溝のSLとバス

2006.7.

 四川省威遠近郊にある黄荊溝にナローのSLがあるという話が重慶の日本語ガイドからもたらされました。当時、中国初心者で古いバスや天然ガスの袋を屋根に積んだ「風船バス」などを探していた私は、田舎に行けば何か古い車があるのではないかと考え、進んで田舎に連れて行ってもらうようにしていました。
 一日1本の貨物列車しか走っていないという効率の悪い鉄道でしたが、市場の真ん中をSLが走るというロケーションは素晴らしいものでした。ここでは、昔の写真を厳選してご紹介します。
 四川省威遠の路線バスです。今にして思えば、かなり旧式のバスに見えます。撮影から10年も経っていないのですが、バスを含む中国の自動車はすぐに古くなり、すぐに使えなくなるようで、他国に比べると新製から廃車になるまでの期間が極端に短いように思います。
 こちらはスタイリッシュな顔つきのボンネットダンプですが、かなり当たらし目に見えるものの、このとき以降この顔のダンプは1台も見ません。登場後、短期間に淘汰されたようです。
 威遠からタクシーで黄荊溝に向かいます。すると、町の手前にも炭鉱があり、石炭が掘り出されていました。
 いよいよSLの機関庫に着きました。762mmのナローで、機関車はその前に訪れた芭石鉄道と同じC2でした。
乗務員は全員私服で、身軽な格好をしています。気温が高いせいかもしれません。
 機関区の奥にはかわいい転車台がありました。
 単線で5kmくらいしかないというのに、廃車体がたくさんありました。途中に交換駅もないので、こんなにあっても余ります。もしかして、昔はもっと路線があったのでしょうか?
 さらにSLのボイラーも投げてありましたので、相当台数がいたようです。
 この車庫は立ち入り禁止だとのことなのですが、翌日はこのSLのチャーターを予約してあったため、入って撮影できました。
 ここは車庫の横のホッパーです。
 巨大な施設ですが、しっかり稼動していました。石炭が効率よく積まれていきます。
 いよいよ列車が出発しました。周囲は市場になっており、列車が通過し終わると一斉にパラソルが開いて線路は見えなくなります。
 さらに、列車のすぐ後ろをおじさんやおばさん、さらにはおじいさんまでがスーパーの袋片手に追いかけてきます。みなさん、貨車からこぼれる石炭を狙って競争しているのです。特に70歳くらいのおじいさんは、シニアオリンピックに出たら優勝するのではないかと思うほどの持久力で1km以上も追いかけていました。みごとです。
 列車はテンダーファーストで山を下り、帰りは空車。SLは正位になって戻ります。名物の巨大なコンクリート橋は上越線の土樽を思い出します。
 四川省は暑いので、市場は午前10時頃までしかやりません。
 午前9時前・・・市場は大勢の人でにぎわっていますが、
 そこにSLがやってきました。
 建築限界ギリギリをわきまえている地元の皆さんは列車が来ても恐れません。パラソルをたたんだり、斜めに持ったりしながら列車を除けます。
 編成は結構長く、通過までには時間がかかります。
右の門柱から先は鉄道の敷地となっています。
 翌日は人車のようなかわいい客車をつけてもらってチャーターです。
 まずは深い切り通しで撮影し、
 続いて大カーブ。
 さらにはメインの大橋でも列車を停めて撮影です。
 この写真だけ見ると、とてもナローの列車には思えませんね。
 この日も市場の雑踏を期待していたのですが、チャーター運転のため出発時刻も遅かった上に途中での停車もあり、街に戻ったのは午前11時。市場は終わっていました。
 かろうじて残っていたお店のご主人はパラソルを除けて列車の通過を待ちます。
 空のまま回送されてきた列車はここで2分割され、再びホッパーで石炭を積まれます。

 この鉄道は私の撮影の後、10カ月で廃線となってしまいましたので、とても貴重な記録となりました。


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