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綏棱森林鉄道のレールバスと蒸機

綏棱は黒龍江省のハルビンから高速バスで4時間、
そこには森林鉄道のレールバスとSLがあったのです

2011年

 初めて訪れたハルビンに、私はとても感動しました。
 この国はどこの町も古い街並みや、時には数百年前の貴重な石碑など、重要な文化財を壊してでもマンションを作るというのに、このまちの人たちは古いビルを大切にし、またその価値をわかっていました。
 これはロシア時代の教会、街の中心のシンボル的存在です。
 本日の宿泊は前からあこがれていた『旧・ヤマトホテル』。
およそ100年前のビルに泊まれるのです。これは少々値が張ってでも宿泊すべきだと思い、予約しました。
 翌朝・・・
 ハルビン駅前のバスターミナルに行くと、ものすごい行列でチケットも買えません。いままで中国では様々な遠距離バスターミナルに行きましたが、これほど混雑していたのはここが初めてです。

 仕方がないので駅前のタクシーで綏棱(スイリン)という町に向かいました。その町にはレールバスの廃車体とSLがあるのです。

 これは、途中立ち寄った国鉄綏棱駅前で見つけたタクシー。
 普通のタクシーに混ざって、このかわいい3輪タクシーがたくさんいました。
 その後、林業局の車庫を訪問してみると・・・
いました!目的の、レールバス廃車体です。
 できれば、現役時代に乗りに来たかったですね。
残念!!
 車内を覗くと、なかなか豪華な仕様だったようです。
 車庫には立派な客車がいました。これは以前、レールバスに牽引されていたものですが、いまは観光用にでも使っているのか、とてもよく整備されていました。
 列車は走っていないようでしたが、程なく別のレールバスが走ってきました。四角くて少し新しすぎますが、バスファンとしてみれば貴重な一台。
 走行シーンを撮影できたのは幸運でした。聞けば、これは業務用で使用しているとのこと。既に旅客列車は廃止されていたのです。
 さらに幸運が続きました。SLが見たいとお願いすると、親切に車庫のカギをあけて見せてくれました。
 その状態から、ずっと走っていないことは明らかでした。
この時は、『もうこのSLは甦ることはなかろう』と思ったのですが・・・、
 この日の綏棱訪問は日帰りで終了。明日は帰国日なのでハルビンに戻りました。

 これは旧・ヤマトホテルの階段です。肖像画が飾ってあったりして、歴史が感じられますね。
 ここは会議場(兼朝食会場)。天井が高くて装飾も立派です。なんでも古いものが好きな私は、とても気に入りました。
2012年5月・・・

 ゴールデンウィークを利用して再度スイリンを訪問しました。ハルビン空港でガイドさんと待ち合わせましたが・・・
 合流までに時間があったため、外で飛行機撮影です。この日は空港の到着予定便の中に珍しいエアラインがありました。

 平壌からの高麗航空、週2便のようです。これは非常に珍しいツポレフ134ですね。
 この日も空港からタクシーで綏棱に向かいました。
 写真のように、またまた列車は走っていないような感じでした。
 今度は林業局の駅に行ってみると、運材車がたくさん置いてありました。列車は全てお休みのようです。たぶん、冬以外は走っていないのではないでしょうね。
 ナローの転車台・・・。
 かわいい大きさですね。
 職員はみな休みかと思ったら、工場だけはやっていました。見ればSLに手をつけています。もしかして直すのでしょうか?そうだとすれば大ニュースです!

 チャーターが可能になるかもしれません!!

 さっそく森林鉄道の局舎に行くと、一番偉い方の部屋に通されました。

 聞けば今年の6月10日に完成して走行するとのこと。以前から厳冬の煙の写真を撮りたいと考えていた私にとって、それは嬉しいニュースでした。
 この時の訪問も日帰りです。綏棱駅前で古い建物を撮影し、次の訪問地、興隆鎮を目指しました。
 その後、夏になり、SLの完成を確認してチャーターを申し込みました。

 以前は一両だけ黄色だった客車が、きれいな緑皮車になっていました。ちなみに、客車は3両ありますが、通常使われるのは2両。あとの1両は簡易寝台車として職員の休憩所になっていました。
 さらに、木曽よりも小さいモーターカーも発見!!オープンタイプなので、-30℃の真冬には寒いでしょうね。
 さて、いよいよSLの試運転です。
 きれいにお化粧直しされ、しばらく待つと力強く走り出しました。
 塗装が少々派手すぎるものの、ほぼ原形を保った好ましいスタイルで見事に走ってくれました。
 綏棱は林業の町。テレビも林業局TV、ホテルも綏棱林業局・綏棱賓館、街の中の大きな門にも林業局の名前があるくらいです。

 ・・・これは街のまん中にある公園のSLです。他にDLや客車なども展示してあります。如何に森林鉄道に力を入れているかがわかります。
 今日の宿泊は林業局の経営する綏棱賓館。暖炉の上に大型液晶テレビ・・・
 雀卓にソファー・・・
 さらに寝室と浴室があります。あれま、テレビは2台目ですね。
 こんなに豪華な部屋で220元(約2900円)とは、お得です。林業局さん、太っ腹!!(笑)
 画面を直訳すると、綏棱林業局ニュース、
 テレビをつけると、なんと林業局の番組をやっています。
 見れば、林業局で何かイベントがあったようです。
 ここは林業局城下町なんだなと思い知りました。
 翌日は少し雨、いつものレールバス廃車体も濡れています。
 朝駅に行くと、まだ7時だというのに列車が入線していました。
 今日の編成は客車が2両。編成の短い旅客列車という設定です。
 出発シーンを撮っても、その列車に乗ることができるというのは、チャーター運転ならではです。
 列車は停止と発車を繰り返しながら進みます。
 中国の普通車は横に5人掛けですが、 
 ナローなので、座席は2人×2人の4列です。
 ミニ旅客列車はさらに何度も撮影を繰り返し、
 ジャガイモ畑の中を進みます。
 予定していた撮影が終わると、レールバスがやって来ました。この車両も予めチャーターしていたものです。
 今度はレールバス+客車の編成を撮影します。
 小さなレールバスが大きな客車を牽くというのがアンバランスでいいですね。
 こちらも何度か撮影を繰り返し、始発駅まで戻りました。
 最後は余った1両の客車をSLで推進運転。この日のチャーターはこれでおしまいです。
 いよいよ冬になり、運材列車の運行が始まりました。
 これで4回目の訪問となりますが、今回は冬の煙の撮影を目指します。
 朝7:25分、ようやく日の昇ったハルビンから快速列車に乗り込みました。
 綏棱森林鉄道の林鉄綏棱駅に到着すると・・・
運材が始まっていました。
 空車だけがむなしく並んでいたGWに比べると、全く違う雰囲気です。
 DLも出発に向け、スタンバイしています。
 職員も動き回っていて、今までの訪問時に比べると、活気に満ち溢れています。
 いつものレールバスは雪景色の中、そのまま鎮座していました。
 客車も準備完了。
 駅に戻ると、木曽森林鉄道にあったようなタンク車がやって来ました。
 さらに撮影していると、今度は運材車の入れ換えが始まりました。
 まとまった台数を、材木下ろし場に運んでいきます。
 結構太い木材があるのですね。
 その後も運材台車の入れ換えが続き、
 次から次へといろいろな材木下ろし場へ運ばれてゆきました。
 駅構内とは思えないような素朴な雰囲気で撮れました。沿線での撮影はできなかったものの、これはこれで絵になりますね。
 ひととおりDLを撮影し終わると、今度は機関区に行ってみました。どうも、本格運行はこれからのようで、DLの整備に余念がありません。
 SLは試運転とともに温水やスチームボイラーの代わりとしてDL整備に利用され、構内を少しずつ移動していました。
 今回は気温が低いので、さすがに煙が良く出ます。
 明日のチャーターは期待できそうです!!
 と思ったら、この日の20時半、試運転中に部品が欠落して動けなくなったとの電話が・・・。
 不安な夜となりましたが、22時前にまた連絡があり、『徹夜してでも絶対直す!!』とのことでした。連絡の早さといい、誠実さといい、ここのスタッフはなかなか信頼できるなと思いつつ、ゆっくり休みました。
翌朝・・・

 車庫に行ってみると、しっかり直っていました。修理は夜中の2時までかかったそうです。
スタッフの皆さん、ありがとうございました。

 さて、いよいよチャーター列車の組成です!
 と、思ったら積雪のため立ち往生。

 DLなど、他の車両は難なく走れるのですが、SLはロッドが線路脇の圧雪に乗りあげ、車輪が浮いて空回りするのです。

脱線こそしないものの、ロッドが一番下に来た瞬間、車輪が浮いて空回り・・・

 SLはそのまま同じ場所から動けないまま、車輪が浮いたり沈んだりを繰り返し、その場にとどまったままです。

 ロッド式の機関車の意外な盲点を発見しました。
 しばらく待つうち、日も昇ってきました。
 2日前は大雪だったといいますが、昨日に続いて今日も天気がよさそうです。
 その後、DLが救援に来てくれて押し出してくれました。SLもフルパワーで前に進もうとします。
 おかげで幻想的なシーンを撮影できました。
 その後SLはデルタ線を使って方向転換。往路はテンダーファーストで次の駅(林家屯駅)まで回送です。
 今日の客車のうち、1両は硬座(普通車)、もう一両は餐車(食堂車)です。プロパンガスの立派な厨房が付いていました。
 ほどなく林家屯駅に到着。ここで機回しをして撮影スタートです。
 まずは発車のシーンから。寒いので煙が良く上ります。
 数日前に雪が降り、とてもきれいな景色が広がっていました。後方には小高い丘と並木があり、まるで富良野のようでした。
 時折停まりながら撮影を繰り返し・・・、
 SLは快調に進みます。
 今日の編成は、
客車2両+有蓋車+タンク車+運材車+カブースです。カラフルな混合列車ですね。
 撮影をしていると歩いているお年寄りとお孫さんに出会いました。
 『ニーハオ』と声をかけると、『何人か?』と言われました。そばにいたガイドさんが『日本人だ』と答えると、老人はたいそう喜んで手袋を取り、握手を求めてきました。

 日本のマスコミが言うほど反日感情はないようです。
 おじいさん、ありがとうございます。
 列車はさらにフォトランを続け、
 最後は国鉄と並行する直線区間で撮影しました。
 天気も良く、順光でたくさんの煙を撮ることができました。
チャーター費用は高かったものの、大満足の一日でした。

 思えば、これまでの綏棱訪問は4回にも及びます。
 最初はレールバスの廃車体を撮りたいという一心で出かけてきましたが、一番偉い方と知り合いになれ、チャーター運転も実現することができました。とても満足な旅でした。
 ハルビンまでは国鉄スイリン駅から快速列車に乗ります。いつもなら絶対に高速バスを利用しますが、大雪で路面状況が悪くなったときのことを考えて、予め切符を買っておいたのです。

 さて、ここはいつもの綏棱駅前なのですが、あっという間にマンションが建ちました。このページの上から10枚目くらいにあった今年のGWの時に撮影した『鉄路旅社』は緑色のタクシーがいた辺りに建っていましたが、影も形もありません。

 僅か半年で!びっくりです。
 今日の列車は日本の塗装にそっくりです。一言でいうと、旧国鉄のキハ183の旧塗装と全く同じなのです。
 快速列車はいつも混んでいます。前の人と膝がぶつかるのが心配で、さらに駅に停車するごとに人が入れ替わるので荷物をしっかりと見ていなければなりません。おちおち昼寝もできないので、ずっと緊張が続きます。

 高速バスならリクライニングシートで、荷物の心配もなく、立って通路を歩き回る人もいません。やはり安心してゆっくり寝られる、高速バスでの移動のほうが楽だと再認識した旅行でした。
  5回目の訪問は人々の暮らしの撮影がメインでした。SLは一瞬だけの撮影です。
 チャーター列車はDLに牽かれて走り去っていきました。
 翌朝、工場に行ってみると仕事が始まっていました。結構大規模な修繕を行っています。
 その後、タクシーで四海店という町を目指しましたが、途中でそり遊びをする子どもたちに出会いました。
 市場に行くとびっくり、全てが凍っています。肉も魚も果物も全てが冷凍食品と化しています。気温は-20℃くらいなので、この方が取引も保存もしやすいのでしょうね。
 手前のものは鳥の足、左の赤いものは冷凍海老、奥の黒い果物は冷凍梨だそうです。
 市場に売っていたものはこれくらいで、新鮮な生の野菜や肉は一切ありません。様々な国を旅して回りましたが、ここの市場は最も品数が少なく、不便そうに思えました。

 一番豊かな市場は漁港に面したところで、海の幸は種類も多く、おいしさも抜群で人々の食生活を豊かにしてくれます。ラサなど山の中の市場は、野菜や肉は揃っているものの、やはり海の幸にはかないません。また、いつも高原を駆けている牛の肉は固く、霜降りの好きな日本人の口には合いません。

 ここのマーケットは、-20℃という気温ゆえ、それらのどこよりも不便そうでした。たいへん勉強になりました。
 その後駅に行くと、30分くらいで列車が来るといいます。興隆鎮では昼間の運材列車はありませんでしたが、ここは昼間も運行されているので撮影が可能でした。また、編成が長大で、ナローとは思えない迫力があります。いままで出会ったナローゲージの中では最も重量感がありました。

 駅で10分ほど点検を行った後、列車が出るというので先回りをします。
 線路と道路が離れているのですが、列車のスピードが遅いため、このように寄り道をして田舎の風景を撮影しても余裕で間に合います。
 その先にはそりで薪を運ぶご夫婦が。
 今度はヤギです。
 こんなに寄り道をしながらも、先ほどの列車より先に走ることができました。
 これはカブース。編成に異常が無いか、運行中は車掌さんが小窓からしっかりと見ています。

 この駅では20分ほど停まっていましたが、どうも動く気配がありません。車掌さんも無線機を持っているのでどういう状況なのかわかるはず。聞いてみることにしました。

 すると、次の駅に先行する列車がまだ停車中とのこと。なるほど、続行運転だったのですね。
 車で次の駅に行ってみると、ちょうど先行する列車が出発するところでした。
 そこで、この列車を追いかけて撮影です。
 雪模様の中をそこそこのスピードで進みます。
 ところが、私の立ち位置より少し手前で停まってしまいました。なぜ駅でもないところで停車したのかわかりませんでしたが、動く気配も無いので帰ろうとしたところ・・・
 反対側から補機がやって来ました。中国のナロー箱型DLのほとんどは片運転台のため、バック運転の重連で終点を目指していきました。
 -20℃以下の田舎の生活を垣間見ることのできた旅でした。
 

■スイリンで蒸気機関車C2をチャーターできる旅行会社とガイドさんのご案内■


 
綏棱森林鉄道で蒸機のチャーターをする際には下記の会社を利用しました。細かいところまで気を遣ってもらえる親切な会社です。
 例えば、朝7時にバスターミナルに行ってバスに乗りたいというと、朝6時頃にバスターミナルに行ってチケットを確保し、何時何分のバスが取れました・・・と報告してくれたり、ホテルを朝6時にチェックアウトしようと思ったら、時間短縮のため、部屋をチェックする係員を前夜のうちに手配しておいてくれたりなど、至れり尽くせりです。
 2013シーズンも9月からスイリンまで交渉に行って、今年の冬の運材列車等の運行について調査・チャーターの予約をしてきてくれました。
 お問い合わせ・交渉等はメールで直接どうぞ。


黒龍江省旅遊集団ハルビン中旅世紀旅行社 社長(中国では総経理) 趙志孚さん

メールは zzfdse2008 と @163.com を、間をあけずに一つにつなげてお送りください。
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